◆「ふくおか元気向上チャレンジ」とは

 介護が必要となった方が「したい」「やりたい」目標の達成を目指して、状態の改善・維持に向けた取組みを行っていただくものです。そして、取組結果に応じて、記念品や表彰状をお渡しします。事業の詳しい内容は市ホームページに記載しています。→市ホームページ
 年齢とともにできないことが増えていき、要介護状態となると改善は難しい・・・
 そんな風に諦めてしまいがちですが、介護の専門職の方と一緒に目標を持って取り組むことで、改善を目指すことができます。特に重要なのが「目標」を持って取り組むことです。

◆目標とは??

 この事業で設定していただく目標は、
「長年参加できていない同窓会に久しぶりに出席したい」
「遠方に住んでいる家族に会いに行きたい」
「以前のように歩いてスーパーに買い物に行けるようになりたい」
などご本人が真に望むことです。
 この事業は、例えばどこかに集まって体操を行ったり、講習会を受けたりというようなものではなく、日頃利用している介護サービスの中で、事業所のスタッフの方と利用者ご本人がチームとなって取り組んでいただくものです。

◆事例を紹介!

 令和4年度から実施している「ふくおか元気向上チャレンジ」ですが、これまでご参加いただき、素晴らしい成果をあげられた事例がいくつもあります。今回はその中から一つの事例をご紹介します!

case04
case04-2

今回ご紹介するのは、令和5年度から6年度にかけてチャンレンジされた池田さんとミラクルデイサービスはこざきを代表とする事業所で結成したチームの取組みです。
 もともと活動的で趣味活動を楽しまれていた池田さんですが、椎間板ヘルニアを発症し痛みや痺れから歩行が困難となり、外出機会が減少。その結果心身機能の低下が見られるようになりました。
「杖を使わずに歩けるようになりたい。」という思いをケアマネジャーに相談し、希望するような訓練が行える事業所の提案を受け、ミラクルデイサービスはこざきの利用を開始。
 「杖なしで歩く」ことはもちろん、池田さんご自身に主体的に取り組んでいただきたいと考え、これまでの趣味活動が継続できるよう「楽しみを持って暮らす」を目標に取り組みをスタートさせました。

●視覚化でモチベーションの向上
 デイサービス利用時は、運動マシンを使用し、日常生活動作や歩行に必要な訓練を実施。また、定期的に体力測定を行いながら、福祉用具(多点杖)も活用し、身体機能の改善に努めました。

case04-3

体力測定の結果(動画)を担当者会議でケアマネジャーやご家族に共有したり、池田さんが自主的に行われている訓練内容を「体調自己管理ノート」へ記載していただいたりすることで、チーム全体で情報を共有、訓練成果の視覚化を行っています。
 視覚化を行ったことで、目標に対する現在地が明確となり、池田さんにとってのモチベーション向上に繋がりました。

●歳を重ねても楽しみを持って暮らす
 訓練の成果は日ごとに見られ、取り組み開始から3か月程度で自宅から700 メートル先にあるスーパーにひとりで買い物に行けるまでに改善した池田さん。趣味である写真撮影を再開され、撮影した風景写真をファイリングしデイサービスへ持参されるようになりました。
 スタッフや他の利用者との会話のきっかけになり、交流も盛んになったことで、「表情が豊かになった。」と話す木村さん。
 要介護度は要介護2から要支援1へと改善し、見事金賞を受賞されました!!

●表彰式

case04-4

令和6年12月7日に金賞受賞チームの表彰式を行いました。
 漫才コンビレギュラーさんによる講演会と同時開催としたことで、287名の方にご来場いただきました。多くの方が見守る中、池田さん、木村さんがご登壇いただき、表彰状を受け取っていただきました。

case04-5
case04-6

また、お一人ずつコメントをいただきました。
 池田さんは病気の発症から、ミラクルデイサービスはこざきでのリハビリ等により再び歩けるようになった体験に触れながら、支えてくれたご家族、介護事業所のスタッフへの感謝の言葉を口にされ、表彰された喜びとともに、「これからも自分でできることはやっていきたい」とお話しくださいました。
 木村さんは、ミラクルデイサービスはこざきでは、自宅でいつまでも過ごしたいという思い持って来られるご利用者の要介護度の改善や、介護からの卒業を目指して取り組んでいて、ご利用者がご自身で頑張っていきたいという想いに、今後も応えていきたいとお話しくださいました。

●取組みを振り返ってみて(ミラクルデイサービスはこざき木村さんのコメント)

case04-7

池田さんを始め、様々な方にデイサービスをご利用いただいていますが、デイサービスへ来ることが目的ではなく、デイサービスの卒業(介護保険卒業)を見据え、社会参加できる場を創りたいと考えています。
 だからこそ、ご本人の意思、思いを汲み取り、ワクワクを感じていただける目標を持っていただくことが大切だと思います。

◆いつまでも、自分らしく暮らす~介護保険の「自立支援」~

 介護保険制度の基本理念に「自立支援」というものがあります。
 ご存じの方は多くないかもしれませんが、介護保険制度は単に身の回りのお世話をする、というだけではなく、年齢とともにできなくなったり、難しくなったことを支えながら、できる限り自立した生活が送れるように介護サービスをご利用いただくという考えのもとに創設されたものです。
 池田さんの受賞時のコメントにもありましたが、「自分でできることを続ける」ことが大切です。介護サービスを頼りすぎず、ご自身でできることはご自身で行い、難しい部分は上手に介護サービスを利用しながら生活することで、今の状態を維持する、場合によっては改善を目指すこともできます。
 いつまでも自分らしく暮らすために、この介護保険の「自立支援」という考えを是非知っていただきたいと思います。
 ふくおか元気向上チャレンジは、「自立支援」の理念のもとに、介護が必要になっても「したい」「やりたい」目標の達成を目指す方を応援する事業です。また、いつまでも自分らしく暮らしたいという想いに応える介護事業所、介護職のみなさんを応援しています。

記事作成:福岡市福祉局高齢社会部介護保険課