福岡市では、誰もが人生の最終段階まで自分らしい生活を続けることができるよう、介護や治療、身の回りの整理などについて、元気なうちに考えて準備を行う、「終活」を応援する取り組みを進めています。
今回は、 福岡市社会福祉協議会にある終活サポートセンター(※)の吉田所長に、相談の現状や、終活の考え方、終活を始めるタイミングなどについて伺いました。

(※)終活サポートセンターでは、電話・面談による終活相談や、相続・葬儀・死後事務委任・医療同意などの情報提供、出前講座、出張相談会を行っています。
終活サポートセンターに寄せられる相談について
50代から80代まで幅広い方から、様々な相談が寄せられます。
配偶者を亡くして一人になり、これからどうしようとか、具体的な課題を抱える方のほか、漠然と「終活ってよく聞くけど、何から始めればいいのかわからない」という方もいらっしゃいます。
そうした方には、まず状況を伺いながら、早いうちから準備した方がいいこととか、課題を整理して優先順位をつけていくところを意識してお話を聞いています。
本人があまり気づいてないところに課題があることもあります。例えば、葬儀会社の互助会に入っているから、もう葬儀は問題ないと思っていても、実際の葬儀までの手配や、亡くなった時に誰がどう動くかなどが決まっていないこともあるので、一つ一つお聞きしながら、「あ、そういうことも必要なのね」みたいに確認しながら進めていきます。
相談を受けるときに大切にしていること
じっくり話を聞くことを大切にしています。終活の相談は、表面的な質問の裏に、本人が気づいていない不安や課題が隠れていることがあるので、きちんと聞いて深堀りしていくと、本当の根っこの課題などが見えてきます。そこから課題を整理して、必要に応じて法律の専門家や介護の相談窓口など、必要な支援へつなげていきます。
もう一つ大切なのは、納得感を持って自分で選んで取り組めるようにすること。解決策を押し付けるのではなく、本人が理解し、納得できる形で支援することを心がけています。
これまでの経験で心に残っているエピソード
80代の男性のケースです。長年一人暮らしで、子どもとも音信不通。身寄りがないと不安を抱え、死後事務委任契約を希望されました。契約前に遺言書を作成する過程で親族調査を行い、娘さんの連絡先が判明。男性が手紙を送ると、娘さんから返事が届き、再び交流が始まりました。
単なる事務手続きではなく、その方の生き方に寄り添い、ご家族との関係にもよい影響を与えることができる支援ができて、よかったなと思います。
また他の例では、「頼れる親族はいない」と思っていた方が、よくよく話を聞くと子どもや親族と連絡が取れるケースもあります。「迷惑をかけたくない」と考えていたけれど、実際に親族に話してみると「そのくらいのことなら自分がやるから大丈夫」と言われて安心する方も多いんです。
終活は一人で抱え込むものではなく、誰かに話したり相談することで、目線が変わって、結果的に解決につながることもあります。
これから終活を始めたいと思っている方へのメッセージ
終活って漠然としたイメージで捉えられがちですが、まずは一度立ち止まって、自分自身のこれからの生き方を考えてみる。そのうえで、望む生き方に向けて取り組んでいくことだと思います。家族や周りの人にとっても、手続きがスムーズになるという実務的なメリットだけじゃなくて、自分の人生を全うするということを考えることで、安心感や納得感を持てると思うんですよね。
自分の人生をどう設計していくか、人生設計の中の一つが終活だと思います。
人生でどんどんステージが変わっていく中で、例えば家族を持ったタイミングで、「もし自分に何かあったら」という視点から、遺産の処分や遺言に取り組むこともあっていいと思うんです。終活ってこれまでの生き方の延長線上にあるものなので、早い段階から人生設計をしておかないと、「終活をやろう」と思ったときに、自分がどんな人間だったか分からなくなってしまう方もいるんですよね。
なるべく早く、今のうちから。思い立ったその時が始めどきです。
日ごろから将来のことを考えて備えるという意識を持ち続けていただき、今の自分にとって望ましい将来の姿を思い描くところから始めてほしいと思います。

さいごに
吉田所長は、相談者の不安や疑問に丁寧に耳を傾け、寄り添いながら一緒に解決策を探していらっしゃる姿勢が印象的でした。
お話をうかがって、終活は事務手続きだけではなく、生き方を見つめなおし、自分らしい未来を描くための大切な機会だと感じました。
どんな未来を望み、誰とどんな時間を過ごしたいのか――その問いを、今考えてみませんか?
記事作成:福岡市福祉局生活福祉部地域包括ケア推進課

