子ども食堂とは、地域のボランティア団体などが提供する、子どもたちに温かな食事や、安心して過ごせる居場所です。
市内の100を超える子ども食堂の中から、城南区七隈公民館で活動する「ななっこ料理道場」を紹介します。
自分で作って、食べて、育つ
ななっこ料理道場は、今から10年ほど前、当時民生委員・児童委員だった代表が、仲間と共に立ち上げた子ども食堂です。ただ食べに来るだけではもったいないと、民生委員・児童委員や大学生のボランティアと一緒に、子どもたちが自分で料理をする力を磨いています。
●入門!ななっこ料理道場
9月のある日、「おはようございます!」と子どもたちの明るい声が、ななっこ料理道場の門を叩きました。
みんなで挨拶をした後は、お待ちかねのメニューの発表です。
―今日の献立―
・野菜がとれるナポリタン
・秋が旬のさつまいもの巾着絞り
・バナナとみかんのヨーグルト和え
・コンソメスープ
怪我をしないように、入念に準備運動をして、調理を開始します。

子ども用の包丁を握り、真剣なまなざしで人参を見つめる男の子。

はらはらして見守る民生委員さんのそばで、覚悟を決めて慎重に切り始めました。
野菜とソーセージを切り終えたら、

ホットプレートに油をひいて、固いものから順番に炒めます。
最後に麺を入れたら溢れそうになりました。みんなで協力して混ぜ合わせます。
玉ねぎの匂いがする煙を吸った男の子は、「涙が出る」と辛そうに目を潤ませました。
ナポリタンを作り終えたら、子どもたちには欠かせないデザートも作ります。

果物入りのデザートは大人気の一品です。
●みんなで食べよう
公民館が焼けたケチャップの匂いで包まれた頃、

今日の昼ごはんが完成しました。
いただきます!と手を合わせたら、楽しいランチタイムです。

自分たちで作った料理は格別。給食と同じくらいおいしい!と得意げに頬張りました。
●子どもから教えてもらう優しい味

民生委員のボランティアが、「今日のコンソメスープは薄味すぎたと思ったけど、子どもたちには評判がよかったね」と一緒に参加していた保護者の方に話しかけます。
保護者の方は、「ついつい家では濃い味になってしまうので気を付けます」と塩加減を確かめました。
●食後のおたのしみも
食事を終えたら、じゃんけん大会のはじまりです。

福岡大学の学生ボランティアのお姉さんたちと白熱した戦いが続き、勝ち進んだ子にはお菓子が配られました。
大好きな子どもたちと一緒に
代表の谷村幸子さんにお話を伺いました。

子どもたちに自分で作って食べる力を身に付けてほしい、と当時の公民館主事や民生委員の仲間で「ななっこ料理道場」と命名しました。例えば、カレーはニンジン、玉ねぎ、じゃがいもがあれば作れるし、お肉がなかったらハムを入れたらいい、具材はなんでもいい。子どもがもし、おなかが空いた時、家にある食材で簡単に食事を作れたらいいですね。
民生委員や大学生の皆さんが、様々な役割を引き受けてくれるので、なんとか10年続けることができました。大好きな子どもたちに囲まれて、私自身が楽しい時間を過ごしています。
この居場所をいつまでも
ななっこ料理道場は、大人と子どもが食を通じて元気を分け合う場所です。この場所で腕を磨いた子どもたちが、いつか大人になった時、次の世代にも生きる力を伝授してくれるはずです。
記事作成:福祉局生活福祉部生活福祉課

