福岡市では、令和7年度において、高齢者施設の災害対策支援として、防災コンサルを高齢者施設へ派遣する事業を行っています。今回は、同事業の派遣先のひとつである西区の特別養護老人ホーム七樹苑の防災に関する取組みを大木総施設長にインタビューしました。

施設で生活している人々

春の恒例行事「桜ウォーキング」の様子
春の恒例行事「桜ウォーキング」の様子

-施設には、どのような方々が暮らしていますか。

特別養護老人ホーム七樹苑には重度の要介護者が多く、日常生活において介助が必要な方々が中心です。日常生活において介助が必要な方となるため、何かあったときには自力での避難が難しく、スタッフの支援が必要となります。

防災に対する施設、法人の取組み

-防災に対して、施設ではどのような取組みを行っていますか。

施設は土砂災害の特別警戒区域に位置しており、災害時のリスクが高いため、日頃から防災には力を入れています。大雨では警戒レベル4になると、施設内の崖から離れた場所へベッドごと利用者を移動する対応を取っています。また、平時より防災についての外部研修を受講し、実践的な訓練を行うことで、毎年の豪雨に備えています。

他都市での災害支援を経験して感じたこと・活かせること

石川県能登半島ボランティアの際、撮影した現地の土砂崩れ
石川県能登半島ボランティアの際、撮影した現地の土砂崩れ

私が福岡市老人福祉施設協議会の防災委員を務めていることもあり、石川県能登半島の被災地ボランティアに参加する機会がありました。現地における海岸清掃などの活動を通じて、被災地の厳しい状況や人間の無力さを痛感しました。また、地域との連携の重要性を再認識し、施設でも災害時に活用できる体制づくりの必要性を感じましたので、今後の施設運営にも活かしていきたいと考えています。

福岡市の防災の専門家派遣業務に期待すること

-福岡市の事業に、どのようなことを期待していますか。

福岡市の防災コンサルタント派遣事業に参加することで、施設の防災体制を専門家の視点から見直す機会をいただけたと感じています。形だけの計画ではなく、実効性のある防災対応を構築するために、専門家の助言を活かしたいと考えています。特に、警戒レベルに応じた具体的な行動指針や、職員間の情報共有体制の強化など、現場に即した改善を期待しています。

利用者が安心して生活していくために、目指す姿

社会福祉法人藤の実会 大木常務理事・総施設長
社会福祉法人藤の実会 大木常務理事・総施設長

-最後に、利用者が安心して生活していくために目指していく姿を教えてください。

防災については、災害リスクを常に考慮し、対応を考え続けることでリスクを減らしていくことができると考えます。職員が多様な可能性を想定し、利用者が安心して生活できる環境を提供することを目指しています。地域との連携を深めていくことも必要と考えます。防災は終わりのない取組みであり、常に改善と備えを続ける姿勢が求められています。また、利用者一人ひとりの状況に応じた個別対応を重視し、安心・安全な暮らしを支えるための取組みも継続していきます。

記事作成:福岡市福祉局高齢社会部事業者指導課