◆地域で支え合う、あたたかな老人クラブ活動
「健康・友愛・奉仕」をスローガンに地域で様々に活動されている「老人クラブ活動」をご紹介します。
昭和52年に設立された「麦野1丁目いきいきクラブ明正会」は、福岡市博多区麦野1丁目を拠点に、70名の会員が所属する老人クラブです。長年にわたり、地域の高齢者が仲間と一緒に、笑顔とふれあいを大切にしながら、楽しく活動を続けています。
クラブの活動は多岐にわたります。毎月の定例会でのイベントや、趣味を楽しむカラオケやソフトダーツなどのサークル活動、地域の清掃活動や見守り活動など、会員の興味や得意分野を活かして、みんなで知恵を出し合い、プログラムを充実しています。
◆毎月の定例会で人生の節目を祝う
毎月第1月曜日に開催される定例会では、誕生日祝い、精励賞(定例会に25回以上出席した会員への表彰)、金婚式など、会員の人生の節目をみんなで祝福しています。8月の定例会では、103歳の最年長会員をはじめ、精励賞を受賞された方々、金婚式を迎えた三苫さんご夫妻をみんなでお祝いし、あたたかな拍手が贈られました。
会長の楢橋照子さんは、「みんなで祝うと喜びも倍になりますよ~もうすぐ50年を迎えるご夫婦は、ぜひ手を挙げてくださいね」と、会員へ思いやりを込めた言葉をかけられ、参加者もみんな笑顔でした。

◆健康と学びを支える講座も充実

定例会では、月替わりで企業や行政機関を招いた講座を実施しています。8月は明治安田生命保険相互会社による「血管いきいき講座」が行われ、血管の健康について学びました。参加者は資料を真剣に見つめながら、熱心に耳を傾けていました。
続いて行われた「よく使われる外国語講座」は、「NISA」や「パンデミック」など、よく耳にする外国語の実際の意味を勉強しようというもの。会員の福田雅子さんを講師に、ユーモアを交えた意見交換が行われ、会場は笑いと学びが響き合う和やかな雰囲気に包まれました。

◆地域ぐるみでつくる、笑顔の夏まつり
そんな笑いが絶えない明正会の活動の根底には、「地域とのつながりを大切にしたい」との思いがあります。毎朝のラジオ体操には、夏休み期間中は小学生も参加し、世代を超えた交流が生まれています。会場では、「顔を合わせるのが楽しみ」「来ていない人がいると心配になる」といった声が自然に聞こえます。地域の見守りにもつながる大切な時間となっているのです。
また、今年の夏は、子ども会から「地域で夏まつりを開催したい」という声が上がり、明正会も全面的に協力。盆踊りの練習では、昔ながらの踊りを若い世代に伝えながら、準備や運営にも力を合わせました。提灯の飾り付けや会場設営など、会員の皆さんが率先して活躍し、地域ぐるみの夏まつりが実現しました。

夏まつりは、子どもたちの笑顔と、会員の皆さんの誇らしげな表情が印象的で、「地域の一員として役に立てることが嬉しい」「若い世代と一緒に楽しめるのが何より」といった声が聞かれました。
こうした活動を通して、明正会は地域の“つなぎ手”としての役割を果たしています。世代を超えた交流が、地域の絆をより強く、温かくしているのです。

◆会員の声から見える、クラブの魅力
・「自分が楽しむことを第一に日々の活動に取り組んでいます。地域の方々と親しくなれて嬉しい」(基さん)
・「友達から『楽しそうなクラブでうらやましい』と言われることが誇りです」(鈴木さん)
・「目標があるから生活が整う。毎日のラジオ体操は雨でも参加で日々の励みです」(宮城さん)
・「会員の笑顔が何よりの喜び。地域に住んでいる自覚を持って、自分たちで頑張っている。毎月発行している広報誌“明正会だより”も40年近く続けており、会員の活動の指針になっています」(副会長)
と、口々にクラブの自慢を語る皆さん。明正会では、好きなことを無理せず、自分のペースで楽しむことを大切にしているとのこと。毎月の活動も決まりきった内容にならないよう、会員同士で工夫を凝らした内容にしているそうです。若い世代の参加も呼びかけ、アイデアをもらい、会員増強にも力を入れており、区老人クラブ連合会から毎年表彰されるほどの成果を上げています。

会長(右)の名コンビ(楢橋さんご夫妻)
◆最後に
明正会の活動を取材して感じたのは、「老人クラブ」という枠を超えた、地域の絆と人の温かさでした。年齢を重ねても、仲間と笑い合い、学び合い、支え合う姿は、まさに“生きがい”そのもの。誰かのために動くことが、自分の元気にもつながる——そんな循環が、ここには確かに息づいています。
高齢者の皆さんが地域の中で輝き続ける姿は、私たちにとっても大きな励みです。これからも、無理なく、楽しく、そして誇りを持って活動を続けていただきたいと心から願っています。
記事作成:福岡市福祉局高齢社会部高齢福祉課